1. インドのスタートアップ業界の概況

まず、全体から俯瞰していきましょう。JETROやニッセイ基礎研究所の集計によると、インドスタートアップの立ち位置は下記の通りで、日本を大きく凌駕しており、世界第3位くらいの立ち位置にあるようです。

世界のユニコーン数と国別シェア(累計)(出所:JETROがCBinsightsから作成(2022年6月30日)  参照元:JETRO コロナ後のスタートアップシーンを振り返る(世界)2022年10月12日

2021年のスタートアップなどの新興企業への投資は大幅に拡大した。世界のオルタナティブ投資動向を分析する英国プレキン(Preqin)によると、2021年の世界のベンチャーキャピタル(VC)投資額は6,586億ドルと、2020年と比較して96%増、およそ2倍となった

世界全体でのスタートアップ業界への投資額は諸説ありますが、上記記事を参照すると現在の日本円価値でざっくり約100兆円規模(=6586億ドルを1ドル=約150円換算)です。その中で、2021年には385億ドル(上記同換算 約6兆円)、インドのスタートアップ業界はの投資が集まったといわれています。ユニコーン数と比例して、投資金額ベースでも5-6%程度の存在感があるのですね。

インドのスタートアップ投資市場は、フィンテック、Eコマース、モバイルゲームなどのデジタル関連の産業に投資が集中しています。これは、インドの経済成長、政府によるデジタル化推進策、若い人口などの要因が背景となっています。

また、インドのスタートアップ投資市場は、ヘルスケア、EdTech、物流などの社会課題を解決する産業にも投資が集中しています。これは、インドの社会課題の深刻さ、政府による社会課題解決への支援策などが背景となっています。

ちなみにですが、日本のスタートアップ投資額は、JVCAの調査によると2021年ベースで8000億円程度らしいです。順調に伸びているみたいですが、グローバル市場であるインド市場とは大きな差がありますね。悲しいですね。。

引用:一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2022年度)

2. インドの各業界における投資動向

インドの各インダストリーへの投資動向を様々読んでみると、推計値が各社ブレるが、概ね下記のような配分が多いのでまとめておきます。あくまでも肌感を掴む為の参考程度にしてください!
この内訳から、インドのスタートアップ投資は、IT・ソフトウェア、フィンテック、ヘルスケアといった成長性の高い産業に集中していることがわかります。

カテゴリー投資額(億ドル)構成比(%)
情報通信(IT)・ソフトウェア ※EC,SaaS,モバイルアプリなど120〜140億ドル35%
フィンテック100〜110億ドル27.5%
ヘルスケア30〜60億ドル15%
教育20〜50億ドル12.5%
物流20〜40億ドル10%
その他(クリーンテック、アグリテック、不動産テック、など)40〜70億ドル10%
筆者が各種レポートの読み取りより作成

具体的には、IT・ソフトウェア分野では、ECやクラウドサービスやSaaS、モバイルアプリなどの分野への投資が活発です。フィンテック分野では、デジタルバンキングや決済、保険などの分野への投資が活発です。ヘルスケア分野では、デジタルヘルスや医療機器などの分野への投資が活発です。また、教育分野や物流分野への投資も拡大しています。教育分野では、オンライン教育や EdTech などの分野への投資が活発です。物流分野では、ラストワンマイル配送やドローン配送などの分野への投資が活発です。これらの投資は、インドの経済成長や社会課題の解決に貢献する可能性を秘めています。

そんな中で、モバイルゲームに限ると5億ドル規模ではないかと推計される場合が多いようです。日本円で500億円規模なので日本人の感覚では大きいですが、インド全体市場においては、まだまだ小さいですね。

3. インドのモバイルゲーム業界の概況

Lumikaiが発表した ‘State of India Gaming’ によると、インドのゲーム業界の市場規模は、2023年度には約30億ドル(約4500億円、1ドル=150円換算)、2028 年度までには 約75 億ドル(約1.1兆円、1ドル=150円換算)に達する見込みです。この成長を牽引する要因は、ネットワークの通信速度の改善によるダウンロード速度の向上、スマートフォンの普及、手頃な価格のデータプランの3つと言われています。主にカジュアルゲームおよびミッドコアゲームにおけるアプリ内購入とゲーム内広告収入の拡大による、CAGR 20%と予測される堅調な成長率です。 さらに、インドはモバイルゲームの総ダウンロード数において世界のリーダーとして際立っています。

Modor Intelligenceのインドのゲーム産業 – 市場規模&シェア分析 – 成長動向&予測(2023年~2028年)によると、

今年の総ダウンロード数では、インドが中国を抜いてモバイルゲームの主要消費国になった。インドは現在、中国の約2.5倍、米国の3倍の市場規模を持つ。前年のゲームダウンロード数は150億(15,000百万)。今年度の世界のゲームダウンロード数では、インドが最も大きな割合を占めている(17%) Source: https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/india-gaming-market

4. インドのモバイルゲーム業界における投資動向を牽引する企業

社名調達年度調達額(約)主力事業/ゲーム説明
Dream1120214億
ドル
ファンタジーゲームインド最大のファンタジーゲームプラットフォーム。クリケット、サッカー、バスケットボールなど、さまざまなスポーツのファンタジーゲームを提供。
Nazara Technologies2021-
2023
1.2億
ドル
モバイルゲームインド最大のモバイルゲーム会社。WCC、Chhota Bheemなどのゲームを開発・運営。
Mobile Premier League20211.5億
ドル
eスポーツインド最大のeスポーツプラットフォーム。PUBG Mobile、Free Fireなどのゲームのeスポーツ大会を開催。2.3billionドルの企業価値に達する。
WinZO20216,500万ドルモバイルゲームプラットフォームインド最大のモバイルゲームプラットフォームの一つ。カジュアルゲーム、eスポーツ、パズルゲームなど、さまざまなジャンルのゲームを提供。
PlayShifu20211,700万ドル子供向け教育ゲーム・玩具子供向けの教育ゲームや玩具を開発・販売。同社の製品は、世界中の50カ国以上で販売。
筆者調べ:インド現地メディアの掲載数値を参照 参照元はリンクより閲覧のこと

筆者も、こちらの表を作るのにかなりインドwebメディアを漁りましたが、調達規模が日本と比較して大きすぎて単位や為替の計算を間違っているのではないかと何度も計算し直しました(汗)。トータルの調達額で円換算だと、数百億円規模、評価額が数千億円規模(もちろん、ユニコーン)だなんて夢がありますね。まさにこれは日本のモバイルゲーム業界が10年前くらいに夢見たグローバル市場でのモバイルゲームドリームですね。

ふと、思ったのですが、各社の評価の合計ってインドのモバイルゲーム市場の売上高をゆうに超えてませんか?つまり、それだけインドのモバイルゲーム市場が有望ってことなんでしょうね。また、レポートします!

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